ナラ枯れが広がる会津の山々は、赤茶に枯死した木々が、深い緑を脅かしている。旺盛な生命力を誇る緑の中で、いのちの活動が絶えた姿の赤い色は無残だ。猛烈なスピードで枯死樹が広がってゆく異常な景観は、...
今から1世紀ほどの昔、三島町の山寺に、ひとりの少女が花を売りに来たという。少年だった父が何処から来たかと問うと、山で採ったらしい一抱えの花を差し出しながら「トンガリーのコシマキから来た」と言った。...
「山羊に育てられまして・・・」
かなり怪しげなものを食べても、食あたりなどという仕儀には至らない頑健な自分の体を、多少揶揄してそう言うことがある。‟お丈夫な体なんですねぇ“と、感に堪えかねたような顔をされたりする場合は、がさつさも...
筒丈の着物を着せられた三つか四つの私は、小さな川沿いのあぜ道を何度もころびながら走っていた。踏み固められた道の両側には丈高い草が生い茂っていて、おぼつかない足の運びを邪魔していたのだ。...
標高1200㍍余りの志津倉山は、頂を境に柳津・三島・昭和を分けている。三島から昭和へ抜ける不動沢林道は、山の中腹をかすめる峠道で、昭和への往復によくこの道を好んで通った。すれ違う車もなく、山の頂きが驚くほど...
朧(おぼろ)なもやに包まれた夜更けは、裏山の杉木立の闇が気にかかる。京都・比叡山に、古くから語り継がれる七不思議の一つを思い出すからだ。かつて、人気のないその場所に、踏み入ろうとしたことがあった。...
「ちょっこら畑見てみっか」
青梅雨の中で、畑の作物の緑は力強く黒い土を覆っている。午睡からまだ覚めやらぬ風の村の古老は、少し腰をかがめたまま玄関に掛けてあった雨蓑をひょいと羽織った。さらに雨避けの笠をかぶり、腰にはヒロロ...
>雪国では、雪の中で納豆を発酵させる不思議な方法が伝えられている。三島町間方の菅家アイ子さん、菅家春江さんが、「雪納豆」を作ってくださるという。2月の厳寒期だった。小降りになった雪の中で、...