2023.04.01 奥会津を遊ぶ

奥会津へ何十回車を走らせただろう。只見町への往復時、国道の川向うに温泉らしきものがあって気になっていた。それが「湯倉温泉」(金山町本名)だった。

初めて立ち寄った時から“大ファン”になってしまった。新築されたのか、小ぎれいで、かつお客さんが少ないのである。我が家から約50kmの所にあるのだが、ここで一日中本を読んだりシュラフ持参で横になっていたりしたら極楽だろう、と思った。

奥会津の秘湯
湯倉温泉(金山町本名)

たまに、先客がいることがある。ある日、若い男性がいた。JR只見線が好きで、会津若松で乗車して最寄りの駅で下車して歩いてきたという。最寄りの本名駅からは3km近くあるので、感心というかモノ好きな青年がいるものだ、と思った。

今日も先客がいたので、簡単に自己紹介して「地元の方ですか?」とたずねた。齢は70代後半であろうか、近隣の村にお住まいとのことであった。休憩室に掲げられていた古い写真に昔の「湯倉温泉」の写真があり、露天風呂のようなところに舟があった。

昭和25年ころの湯蔵温泉
昭和25年ころの湯蔵温泉

「昔は、舟でこの温泉に来たのですね?」と尋ねると、「ああ、この村に舟大工がいたんだ。」とおしえてくれた。さらに彼は大工で、弟は宮大工だという。大工仕事中だったのだろう、指を怪我した時に、隣町の三島町早戸温泉に通って傷を治したという。弟さんは横田の寺社建築もやったが、磐梯町にある恵日寺の再建にも携わったとのことだった。

近くに鍛冶屋が居なくなって困ったこと、馬や牛に変わって耕運機が活躍するようになったことなど、興味深い話をお聞きすることができた。

温泉維持協力金箱
温泉維持協力金箱

「この温泉の窓から釣り竿たらしたら、ここは魚釣れるぞ!俺には子ども二人いるんだが、野菜や米送ってもいいが、送料が大変でな…。コロナ禍で孫にも会えないが、お年玉はやんなね。昔は自給自足みたいにして、今よりも良かったんでねぇがな…」。

「テレビで相撲始まっから、先に帰るぞ。」と言うのが別れの言葉だった。

今では、川向こうにあったこの温泉は、トンネルが開通して舟どころか橋も渡らずに行くことが出来るようになった。