金山町、JR只見線会津川口駅前から昭和村へ向かうと「玉梨八町温泉」のバス停がある。近くに車が2~3台駐車出来る場所があり、人一人が歩くことの出来るコンクリートの階段を下りると「八町温泉亀ノ湯」がある。
昨今では珍しくなった“男女混浴”で、湯船は1間×2間近くあろうか、大きいのがただ一つ。入って左が男性、右が女性の更衣室?となっていてカーテンを引いて使用する。しかしながら、湯船は一つの混浴であるから、なんともビミョ~な立場のカーテンではある。
入浴料は200円以上のご協力とあり、青い小さな鉄製の箱が備えてある。 何度も行ったことがあるけれど、殆どが独りだけの極楽の湯。
ところが、ある日男女2人がドアを開けたのである。すぐに女性は外に出た。入室した男は一眼レフカメラを手にしていて、「すみません、写真を撮らせてもらえませんか?雑誌の取材なんです。」と言う。独り入浴中の私を撮影するというのか?私は、「それは、女性のほうが絵になるのでは?」と進言した。すると、そのカメラマン氏曰く「そうかもしれませんが、仕方ないじゃないですか…。」おいおい仕方ないというのが少々ひっかかったが、後ろ姿というか誰かわからんように撮ることで妥協した私であった。
逗留と滞在は似ているようだが、なぜか「逗留」に魅かれる。1980年代に大変有名になった作家がいて、近くの宿に逗留、この八町温泉に来たことがあったという。先客は地元の長老ひとり。サンダル履きで髪の毛はモジャモジャ、地元では見かけない風貌の男に、長老は温泉入浴の基本的な指南?をしたらしい。「あのなぁ、その頭も身体も足先まで、きれいにしてから湯に入るんだぞ!」もちろん作家氏は、素直にそれに従ったらしい。都会にいて出会ったらサインを求められるかもしれないその作家は、自分の匿名性がさぞ心地よかったのではないだろうか。
何年前だったろう、「水曜日は女性のみ入浴可」となった。これもご時世だろうか、世の秘湯ファンの女性への配慮だろうか?しかしながら、いつの間にかその表示は無くなり、元に戻っていた。
「八町温泉」近くに在住の知人女性が、「先日、母と深夜に入浴してきました。」と言う。そんな愉しみもあるのだな。