2023.02.28 奥会津に生きる

はじめまして、こんにちは。

奥会津昭和村、オオマタというところに、私は暮らしています。オオマタは6軒12名の集落。ここへ来て12年経ちますが、その間に4名が亡くなり、4軒が空き家になりました。住んでいる一人一人、顔も名前も分かる。ネコの名前もイヌの名前も知っている。山の神さま、水神さま、お愛宕さま、天狗さまが、近くにいて下さる。それぞれの存在が、この場所を豊かに形作って、私たちは互いに、守り守られながら、ここにあるのだと感じます。

さて、これから私はいただいたこのスペースで、オオマタでの日々を綴っていこうと思っています。読んで下さるみなさんへの、お手紙のつもりで。どうぞよろしくお願いします。

オオマタ集落
オオマタ集落

「火の用心当番」というのがある。月に一度、集落の女性が二人組になって、鐘と拍子木を鳴らしながら集落を歩いて火の用心を呼びかけるというもの。「今日あたりやっかー(やるか)」と相手の人と約束をし、夕方に待ち合わせ、15分くらいかけてゆっくりと集落を歩く。どこを切り取っても、何ということもない内容なのだけど、その「ひととき」が、とてもあたたかなものに感じる。火の用心の音が聞こえるといつも外に出てきてくれて、「ごくろうさん」と笑顔で飲み物やお菓子をくれるアイコさん。夏には、アイスクリームをもらったこともある。テルコさんがよく手渡してくれるのは、どのお店でも見たことがない、外国風の特別なチョコレート。今年は私も、音が聞こえたら外に出て、差し入れする側にまわってみたい。

チョコレート

春になるころ、一人の姉さま(年上の女性に対して、親しみをこめてこう呼ぶ)が急に亡くなった。それから少し経ったとき、女の人は全部で5人になって、火の用心をどうするか、という話になった。姉さまたちは、「もうみんな一人ずつやればいいんでねえか」と言った。私はドキリとした。「いつにする」と声をかけあい、待ち合わせをし(時々どちらかが忘れていたり)、一日の終わりのほっとする時間に、気楽な話をしながら歩く。それがなくなるのは、さびしいと思った。一緒に火の用心が出来なくなる日は、いつかどうしようもなく来てしまう。できるうちは、一緒にやりたい。そこで私は、提案をした。フミヨさんとユキイさんはこれまで通りふたりで、アイコさんと私がやり、テルコさんとも私がやります、と。「なんだぁヨウコちゃん、それじゃ大変だべえ」と言われながら、その案は採用された。いつまでもはないということを、心のどこかでいつも感じている。だから、大切にしたい。

今年の春、空き家だった隣の家に、若い男性が越してきた。かすみ草農家として就農するために、現在は隣の集落で研修をされている。来年にはご結婚の予定で、パートナーの女性も住みはじめるという。そうなると、隣家である私が、その方と火の用心当番をすることになるだろう。ちいさな会話、時間を積み重ねながら、少しずつ仲良くなれるかな。楽しみにしている。